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空を目指したトビウサギ

キバリです。更新は気が向けば。過去は二次創作東方話を書いていました。今は雑談多め。多分。

メディ慧過去話 9

恐らくラストー!!

 

メディスンと妹紅はすぐ、慧音に戸棚の事と、あの晩の事を話した。

暴れている最中の記憶はほとんど無かったらしく、慧音はひどく錯乱し、2人に深々と土下座までした。

おかげで、戸棚が焦げたことに関しては、ほとんど何も言われなかった。

そして夕食中。

「…なぁ、メディスン」「?なぁに、先生」

慧音は少し暗めのトーンでメディスンに話しかけた。

メディスンは、私が毒薬を飲んだせいで妖怪になって暴れたと話してくれたよな」

「?うん。メディ話した」

慧音は箸を置いた。

「――それは半分正解で、半分は間違いだ」「…え?」

慧音は立ち上がり、縁側との境だった障子を開いた。

その夜空に浮かぶのは、輝く満月。

「…すまない。もっと早く言うべきだったな」「な、何を…?」

その時、慧音の身体に変化が起こった。

 

髪が青から緑へと変わり、その不思議な帽子が乗った頭からは、2本の角が生えた。

服も青から緑へと変わり、膨らんだかと思うと、服から長いフサフサの尻尾が顔を出した。

メディスンは声も出さず、唖然としてその様子を見ていた。

慧音はくるりと振り返り、メディスンを見つめた。

その瞳は普段の茶色の瞳ではなく、紅い、獣の瞳だった。

「…これが、私の正体だ。私は半獣なんだ」

慧音は懐から赤いリボンを出し、左の角に結んだ。

「…やはり恐れられてしまうか…それはそうだな。私は先月、メディスンを襲ってしまっている」

「ぜ、ぜぜぜ全然!!怖くないもん!!」

その言葉とは裏腹に、メディスンの声と体は震えていた。

「慧音…」会話に入れなかった妹紅が小さく呟く。

慧音はストン、とその場に座った。

「薬で正気では無かったとはいえ、襲ってしまったのは事実である。それに、私が半獣だということを告白するのも遅れてしまった。改めて、謝らせてくれ」

本当に申し訳ない。

慧音はそう言って再び頭を下げた。

メディスンは困っていたが、すでに答えは出ていた。

「…大丈夫だよ」「…!!」

「また謝られたのはびっくりしたよ。もう、さっきも『いいよ』って言ったのに…。それに、今の先生はこの前の夜よりもずーーーーーーっと優しい!」

メディスン慧音に近寄り、メディスンを見上げている慧音の火傷をしていない方の頬にキスをした。

「私、先生が大好き!色んな事教えてくれるし!とっても優しいし!先生がはんじゅう?だったとしても、先生は先生、とっても優しい先生じゃんっ!!」

だから、先生。

『一緒に早くご飯食べよう?』

その言葉に慧音は見開いたが、やがて目に涙をためながらも笑顔になり、「ありがとう」と言った。

そして、また3人は夕食を再開した。

夕食後、慧音は奥の自分の部屋に行き、歴史の編纂作業を開始し、メディスンと妹紅は一緒にお風呂に入った。

妹紅はメディスンの柔らかい髪を洗っている時、ふと、呟いた。

メディスンもけーねが好きなんだよね」「うん!大好き!!」

「じゃあ、私とメディスンはライバルだね」「?なんの?」

妹紅はざばーっとメディスンの頭にお湯をかけた。

「『恋』のライバルだよ」「こい?」

メディスンは言葉の意味が分からず、首を傾げる。

メディスンはけーねが好き。私もけーねが好き。だから、けーねの取り合いになる。それが、ライバルなんだよ」

「…へぇー…」としかメディスンは言えなかった。

「だから、覚悟しておけよ!」妹紅はメディスンの肩を叩いた。

メディスンはまだ分かっていなかったようだが、とりあえず「うん」とだけ言っておいた。

その時、

ガラッと風呂場の戸が開き、慧音が入ってきた。

「あら、慧音久しぶりじゃない?その姿でお風呂入るの」

「ああ、本来は仕事前に入るからな」

慧音はそう言ってメディスンの隣に座り、体を洗い始めた。

メディスンはその様子をジッと見つめていた。

「…どうしたメディスン」「…先生…体キレイだな…」「はぃ?」

思わぬメディスンの発言に変な声が出てしまった慧音。するとメディスンは自分の胸に手を置いた。

「メディの体、人形だからさ、成長しないもん。だから、先生の体、羨ましいなぁ…」

「そうだよねー特に胸とか」湯船に入っている妹紅が言った。

妹紅も不老の体なので、成長しない。

「う、そ、そう言われると、急に申し訳なくなってきた…」

「そうだよ!成長できるありがたみを知れ!」

メディスンは立ち上がり、叫んだ。

妹紅は楽しそうに笑った。メディスンも笑顔になった。慧音も「そうだな」と笑った。

翌日。寺子屋は休みなので、3人は無名の丘に来ていた。

「へぇーここがメディスンの住んでいるところかー」「そう!!」

妹紅は初めて来たようで、珍しそうに周りを見ている。

メディスンはひゃっほう!と嬉しそうに叫ぶと、花畑にダイブした。

「はーーっ…この感じ、久しぶりで、気持ちいーなー…」

「そうか、それはよかった」

慧音はしゃがみ、寝転がっているメディスンに笑いかけた。

メディスンも笑い返し、大の字になった。

そこへ、メディスンに良く似た、小さな妖精のようなものがメディスンに近寄ってきた。鈴蘭の妖精だろうか。

と、その時、メディスンの発言を聞いた妹紅が、え、本当!?と叫び、メディスンと同じように花畑へダイブした。鈴蘭の花が空を舞った。

「あ、妹紅、鈴蘭には毒が…」慧音がそう言いかけると、妹紅は慌てて出てきた。

メディスンは可笑しそうに笑った。

「そう!この花畑は私のもの!私だけが大丈夫!!

ゴロゴロと転がりながら楽しそうに言った。

慧音は立ち上がった。

「じゃあ、私たちは里に帰るよ。また遊びに来るといい」「うん!また行くね!!」

メディスンも起き上がり、大きく手を振った。

慧音と妹紅も手を振りながら歩いて行った。

*

 

無名の丘。それは人里に隠されるように存在する、鈴蘭畑。

しかし、そこに住む小さな人形は好んで人里へと降りてきていた。

なぜなら、

「先生!!また来たよ!!」

新たにできた、『大好きな人』に、会うためだった。

 

久しぶりにやってきた、小さな幸福。

鈴蘭たちは、それを祝福するかのように、風に揺れていた。

 

~END~

 

 

 

 

完結しました!!やったね!

鈴蘭の花言葉は…幸福の再来、純粋

メディスンにぴったりだと思いました。

そして、この話は、また別の事件へと続いていく…

次回からは、衣玖×慧音です!!

疫病神と恐れられている緋色の妖怪。彼女を救おうとする、人里の守護者。

人を守る妖怪達のお話です。お楽しみ(?)に!!!