空を目指したトビウサギ

キバリです。更新は気が向けば。過去は二次創作東方話を書いていました。今は雑談多め。多分。

メディ慧過去話 8

「あーあ…退屈だなぁ…」

時は流れ夕方。メディスンは居間で寝転がっていた。

慧音は寺子屋で授業、そして妹紅は里の見回りに行っていて、メディスンは慧音の家で一人お留守番だった。

「ぅ~~~~~ん…」メディスンは小さく唸ると、コロン、と一回転をした。

そして思い出したかのように起き上がると「お茶…」と呟いて台所へと走っていった。

 

「えーっと、この部屋だったよね…」

メディスンは少々迷いながらも台所に着いた。と、その時。

ガタッ

「!!」

突然の物音にビクッと体が跳ねた。

もしかして…

何か心当たりがあったようで、メディスンは音を立てないようにそーっと部屋の中に入った。

メディスンは棚の影に隠れ、物音がした方を見た。

「!!」

メディスンは息を呑んだ。

そこにいたのは、人間くらいの背丈を持つ、大きな灰色の鳥だった。

器用に、開いていた窓の枠に足を乗せている。

しかし、それは普通の鳥ではなかった。

家の中に侵入するのと同時に、人間のような姿になった。

灰色の髪と瞳を持つ、美しい青年へと。

その背中には大きな翼があり、バサバサと動かすたびに、灰と茶が混ざったような羽が舞う。

そう、『妖怪』だった。

その妖怪はメディスンが隠れている棚とは別の棚の中をあさり、一つの茶筒を取り出した。

それは、慧音が愛飲しているお茶の葉が入っている筒だった。

そして妖怪はそれを開けると懐に入っていた茶葉のようなものをその中に入れ、蓋をした。

メディスンは、もうその物体が『毒』だという事に気付いていた。

そしてその妖怪が再び鳥の姿になった時、メディスンは飛び出した。

「こら!そこのとり!!」「!?」

メディスンは驚いて固まっている鳥―妖怪を睨みつけた。

「先生に毒を飲ませてのはおまえだったんたな!先生をおかしくするヤツはメディが許さない!!」

するとその妖怪は口を開いた。

「そうさ、僕が守護者をおかしくさせたのさ。」

「なんで!先生はいい人なのに!」

「いい人だからだよ、お嬢ちゃん。守護者は、皆に優しいし、とても強い。だから、人を喰らう妖怪はすぐに退治されるんだ」

そう、僕のような妖怪は、ね。

妖怪はメディスンときちんと向かい合った。

「あの守護者が注意しているからかな、最近は全く人が食べられなくなった。僕はもう我慢ができなくなった。妖怪としての仕事だからね。守護者に薬を飲ませ、暴れさせるようにした。そうすれば、あの守護者は里から追放され、指導者がいなくなり、もっと里から馬鹿な人間が出てくると僕は企んだ」

「そんな…!先生をいじめてる…!!」

メディスンは震えた。怒りの震えだ。

その顔からはあの可愛らしい笑顔が消え、怒りの顔になった。

妖怪は少し、メディスンに近づいた。

「お嬢ちゃん。あなたは守護者の生徒さんだろう?そんなか弱い人間なのに、僕に歯向かうのかい?悪いけど、僕は妖怪だ。妖力はたっぷりある。お嬢ちゃんは可愛いからホントは傷付けたくないのだけれど、見てしまったから生かしておくわけにはいかない。だから…」

その体、味見させていただくよ。

妖怪は大きな翼を広げた。メディスンは叫んだ。

「メディ、弱くないもん!」

メディスンは妖怪が動く前に大きく息を吸い、思い切り息を吹き付けた。

毒の息(ポイズンブレス)を。

妖怪はひどく驚いた。

「な、お嬢ちゃん、人間じゃないのかい!?」「そう、メディは人間じゃない!!」

毒の息は妖怪を囲み、逃げようと翼を羽ばたかせる妖怪の動きを鈍らせる。

 

何故、鳥の妖怪はメディスンが人間だと思ったのか。

それは、先月、永琳から貰った『勝手に毒が出るのを防ぐ薬』のせいだった。

メディスンはそれ服用していたため「毒」という妖力を体内に封じ込めていたのだ。

 

毒の息はじわじわと妖怪の体力と妖力を削っていく。

やがて鳥は最後の力を振り絞り、その巨体で突進してきた。

予想外の行動にメディスンは動けず、直撃してしまった。

倒れたメディスンの首に妖怪の鋭い爪が食い込む。

「これで終わりだ、お嬢ちゃん」

妖怪は思い切り足でメディスンの首を絞めようとした時。

鳥の甲高い鳴き声が部屋の外で聞こえた。

何の声だ、妖怪が呟いたその時。メディスンの視界は真っ赤に染まった。

血が溢れ出した訳ではなかった。

灰色の鳥に襲いかかる、紅の火の鳥

灰色の鳥はその火の鳥に押し倒され、メディスンは解放された。と、そこへ

「あー…危なかったー…」「あ、もこーさん!」

荒い呼吸をしている妹紅入ってきた。

妹紅はすぐに火の鳥に焦がされている妖怪に近づき、ガッと妖怪の頭を床に押し付けた。

「二度とこんな真似すんな。もしもう一度したなら、お前の体をこんがりウェルダしてやるよ。分かったな?」

その鋭い紅の瞳に威圧され、妖怪は声も出なかった。

妹紅はそう言い放つと、妖怪の頭から手を離した。

妖怪はすぐに立ち上がり、よろめきながらも逃げ去った。

妹紅は指をパチン、と鳴らすと、火の鳥は消えた。

メディスンは妹紅の元へと駆け寄った。

「もこーさん、強い!」

「え、あ、ありがとう。久しぶりにアイツ以外の奴に本気ぶつけたからさ、ちょっと燃えちゃった」

妹紅はチラ、と棚を見た。半分くらいが黒焦げになっていた。

「後でけーねに謝らなきゃなー…あ、そうだ」

妹紅は床に転がっていたあの茶筒を手に取ると、「そーれっ!」

遠くに投げ捨てた。

その様子を見ていたメディスンは、ある事に気が付いた。

「ってことは、もこーさん、先生がおかしくなってたの、知ってたの?!」

「ん?うん。そういやメディスンにまだ言ってなかったね。先月のあの夜、ひと試合終わって家に戻った時、メディスンに慧音が飛びかかっているのをちょーど見てね。慌てて取り押さえたんだよ」

「そうだったの?!」

「うん。ちょっとけーねのほっぺ傷付けちゃったケドねーあんまりにも暴れるからさー…」

道理で私は傷つかなかったわけか、とメディスンは納得した。と、その時。

「ただいまー」

「あ、けーねおかえり!!」

「おかえりなさーい!!」

慧音が帰ってきた。

2人は返事をすると、玄関へと走っていった。

 

 

 

やっと謎(?)解明!妖怪も退治したし、よかったね、メディちゃん!

…と終わらないのがこれである。

妖怪が薬を入れに来た。つまり、今夜はあの夜なのです…

次回完結予定!!!